忍者ブログ

ウィルスによって誕生した新人類「鬼」と人類の闘い

   
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

第六章
 
 白い部屋に四台の寝台が置かれ、和也と同じように横たわる人の姿があった。開け放した窓から微かに風が入ってくるだけで、身じろぎする音もしない。皆、不動のままベッドに仰臥し、天井を見ている。時に静かに瞬きを繰り返すだけだった。 
扉が開く音がして、和也の父が病室に入ってきた。和也はゆっくりと首を横に向けて父の方へ顔を向けた。しかし、父の視線は避けて、瞳は宙を見たままだった。憂鬱な気分と恐怖感に圧倒され、父に頷き返すことも出来なっかた。
この病院に父は勤務していた。和也も医学部を出たらこの病院で働くつもりだった。希望は総て消えた。父もいつかパニックウィルスが発症して、昏迷状態から植物状態へ、そして死を迎えるだろう。父は病室を去った。
陽が沈んで夜になった。 パニックウィルスに侵された人々にとって、夜の暗闇は他人の視線から自分の姿を消してくれる安全なベールだった。
患者達は夜になるとベッドから起き出して部屋から出て行ったり、無言のままベッドに横座りして窓から夜空に昇る月を見ていた。 
今の昏迷状態が進行して、植物状態になれば自分で排泄することも、食事をとることも出来なくなる。高カロリー輸液と導尿パックで生かされる。しかしそれはいつまでも続かないだろう。すでにどこの病院もパニックウィルス症候群の人々で満床だった。看護出来る健常者は少なくなる一方で、鬼子達だけはウィルスから無縁でいられた。通常では考えられない髪や瞳の色の鬼子達が街にあふれている。赤い瞳、オレンジ色の髪、黄緑色の髪。
和也の妹、真野は黒緑色の髪に金色の瞳だった。幼い頃、真野の瞳は、日本人にしては薄い瞳の色だと感じさせる程度だった。 内心和也は妹の真野を軽蔑してきた。幼い頃から引っ込み思案で、よくいじめられていた妹。内に籠ってしまう性格で、小学生の頃から不登校になり、今も社会から引き籠った生活をしている。比べて、和也は目立ちたがりやで負けず嫌いな性格。生来臆病でふがいない無器用な妹が理解できなかった。
ーーあいつが新人類だって? 
怒りがこみ上げてきた。 
昏迷状態が進行すると、意識混濁になって幻視や幻覚を見ることがあると聞いていた。
ーー僕はどんな幻視を見るのだろうか。 
和也は思った。
PR
   
Comments
NAME
TITLE
MAIL (非公開)
URL
EMOJI
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
PASS (コメント編集に必須です)
SECRET
管理人のみ閲覧できます
 
Trackback

TrackbackURL

Copyright ©  -- 鬼ヶ島 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / Material by The Heart of Eternity / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]